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vol.64「秋の夜長になんとやら」

もともと読書は大好きですが、一旦読書の習慣がなくなってしまうと、なかなか読むタイミングをつかむのが難しいです。

 

という自分を打破するため、(そして前回の私のブログでも触れた、衝動買いした本がこれ以上積み上がるのを避けるため)空き時間にはなるべく本を読むことにしています。通勤電車に揺られながら、お昼休み、家で寝るまでの時間、最近では湯船に浸かる時間すらも読書タイム。

一度読み始めるとなかなか没頭してしまい、気がつけばいつもより早く時間が過ぎてしまった感覚になっています。それだけ充実しているのですね。

さてさて、最近読んだ本の中でオススメをご紹介します。

シュールな表紙

 

『三島由紀夫レター教室』(著・三島由紀夫 ちくま文庫)です。

 

三島由紀夫といえば『金閣寺』を筆頭に『潮騒』や『豊饒の海』などが有名ですが、名高い文学者の作品でちょっと難しそうで、敬遠している方も多いのでは。かくいう私も何作か読んだ程度なんですが。

しかしこの『三島由紀夫レター教室』は一味も二味も違います。

 

なんといっても特殊なのが、出来事すべてを手紙で表現しているのです。

主な登場人物は未亡人、中年デザイナー、「ピチピチ」のOL、演劇青年、そして大学を3年留年している青年の5人。彼らは職業も考え方もさまざまですが、共通点は“筆まめ”なこと。

5人の間で交わされる手紙は決して堅苦しくなく、皮肉まじりだったり、ユーモラスだったり、コチラが恥ずかしくなるくらいのラブレターだったり(時折借金の工面の手紙もありますが)。

手紙のみで構成されているにも関わらず、それぞれの性格や思惑が手に取るようにわかります。もちろん三島作品らしく、人の醜い感情も垣間見られますよ。

 

 

すべて手紙で構成しているので、作者のあとがきももちろん手紙形式です。「レター教室」らしく、作者本人から手紙の書き方の基本(?)も伝授されています。

 

1966(昭和41)年に連載されていた小説ですが、人の感情やそれが手紙としてどう表現されるのか、恋をしたとかフられたとか、現在の私たちに通じるものがたくさんありました。「あーこういう人、いるいる!」と面白がりながら、気楽に読めますよ!

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